株式会社マスダック

卵の話

卵の話

お菓子づくりの要となる卵。泡立て方でそのお菓子の仕上がりが変わったりもします。
前回のコラムのなかで共立て法、別立て法について触れましたが、今回はそこから派生して卵について勉強してみます。

卵は、卵白・卵黄それぞれ異なった性質を持っています。さらに個体ごとの鮮度や温度によって状態が異なるので、安定したお菓子づくりをするためには注意が必要です。
では、卵にはどんな性質があるのでしょうか?卵白と卵黄の違いは?
卵の基本の部分から、卵白・卵黄それぞれの特徴についてみていきます。

卵の重さ

まず卵1個の重さはいったいどのくらいなのでしょうか?
卵〇個と表記されているレシピをよく見かけますが、サイズによって重さが異なるので注意が必要です。

殻を除いた卵の重さ(正味)は、
・Mサイズ50g(卵黄20g、卵白30g)
・Lサイズ60g(卵黄20g、卵白40g)

となります。当社のレシピに記載されている卵の重さは殻ぬきで、Lサイズを使用しています。つまり全卵500gのレシピの場合、Lサイズの卵8.3個分ということになります。

写真左:Mサイズ、右:Lサイズ

卵白・卵黄の主な成分

卵は卵白と卵黄でできていますが、そもそもどんな成分が含まれているのでしょうか?

卵一つの卵白と卵黄の比率は2:1です。
卵白は水分が約9割を占めていて、タンパク質が1割、そのほか脂質、炭水化物、灰分が僅かに含まれています。
卵黄は水分が約5割、脂質が3割、タンパク質が2割弱、少量の炭水化物と灰分でできています。

卵白の性質と役割

卵白は、「起泡性」という気泡を作り出す性質を持っています。卵白に含まれるタンパク質の作用によって、泡立てると空気を抱き込むことができます。このようにしてできた気泡が、お菓子を膨らませる働きをしてくれます。

卵の鮮度

安定した気泡をつくるには卵の鮮度も重要です。
では、どのようにして鮮度の良さを見分けるのでしょうか?

卵の鮮度は、卵を割ったときの卵黄の形状を見て判断することができます。
鮮度が良いものは、卵黄の表面張力が強く、高さがあります。このような卵は泡立てにやや時間がかかりますが、きめ細かい安定した生地ができます。
対して、鮮度が落ちた卵は表面張力が弱く高さがあまり出ません。こちらは早く泡立ちますが、気泡が大きいため、きめが粗く不安定な生地になってしまいます。

メレンゲをつくるときの注意点

気泡の出来具合は、ミキサーのホイッパーの線の太さや回転速度、卵の鮮度や温度、添加物等の要因で変化します。過度な力やスピードによって短時間で泡立てると、粗く不安定な気泡になります。

メレンゲを上手につくるコツは、時間をかけて中速で泡立てることです。
ボウルとミキサーは、水分や油分のついていない清潔なものを使いましょう。水分や油分が混ざり込むと、卵白が泡立たない原因になります。また、少しでも卵黄が入っていると立ちづらくなるので注意しましょう。
卵白は冷えた状態のものを使うことで、コシのあるメレンゲができます。

時間をかけて泡立てたメレンゲ

卵白には、熱すると固まって生地の骨格を形成するという働きもあります。例えば、スポンジ系の生地の場合、主に小麦粉に含まれるグルテンが骨格を形成しますが、小麦粉の配合が少ないスフレ生地などの場合、卵白の熱凝固が骨格形成の主な要素となります。

卵黄の性質と役割

卵黄は、「乳化性」という水分と油分を結び付ける性質を持っています。これは、レシチンという乳化作用のある脂質が含まれているからです。この乳化作用と、卵黄内の他の脂質の働きにより生地が柔らかくなります。

卵黄には油脂という消泡作用(気泡を壊す働き)のあるものが含まれています。
しかし、卵黄の油脂はレシチンに覆われているため、レシチンの乳化作用が油脂の消泡作用から卵白の膜を守り、共立てが可能になります。
ちなみに、共立てで泡立てるときは湯煎で温めるとレシチンによる乳化作用がよく働きます。
この乳化作用は、バターを使った生地など多くのお菓子づくりの中で役立っています。

今回は卵について勉強しました。お菓子づくりだけでなく普段の調理でも頻繁に使用する身近な食材ですが、意外と知らないことだらけでした。
お菓子をつくるときは賞味期限間近の卵ではなく新しい卵を使うのがよさそうですね。
みなさんも今回勉強した卵の知識を活用してみてくださいね☺

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